
お茶づくりと針仕事をたのしむ会を開きます。
言うまでもなく、お茶は私たちの暮らしに欠かせないものであり、お茶づくりも、かつては、料理の一部のような、身近な家事でした。チャノキは一年中葉をつけるため、庭木や生け垣として、そこら中に植えられていました。専門農家でなくても、春になると新緑の茶葉を摘み取って、自宅で製茶をするのが当たり前だったようです。その習慣は、近代化に連れて、失われてしまいました。
僕は結婚を機に水俣に移り住み、妻の祖父が70年前に始めた小さい茶畑を、5年前に受け継ぎました。8年間放置された茶畑は、カズラなどの植物が生い茂り、まるでジャングルのようでした。茶樹は3メートルほどの背丈に育っていました。
僕はそれを見て、チャノキの生命力の強さを感じました。「お茶にして飲めば身体に良さそうだし、どんな味がするんだろう」と、何も分からないところから、茶づくりを始めました。お茶農家さんの茶園にお邪魔し、製茶方法を見聞きして、自分流のつくり方を模索しました。
自分でつくったお茶は、それまでに飲んできたお茶とは全く違い、特別なものでした。それから、お茶は買う物ではなくつくるもの、畑から直にいただくものになりました。
僕たちの茶づくりは、全て手摘み、手揉み、手焙煎と、とにかく手をつかいます。ゆっくり小学校でサティシュ・クマールさんに教えてもらった通り、手をつかい、心を込めるのです。
お茶づくりは僕たちにとって、たのしい手仕事のひとつ。今回、手づくりのお茶づくりのたのしさと、美味しさを伝えられたらと、参加者のみなさんとゆっくり小自然農園のチャノキの茶葉を手摘み、手揉みし、緑茶をつくる会を催します。ハーブ園のミントやレモングラスなども収穫して、フレーバーティーも試してみましょう。
お茶の試飲会には「やさしい天然色の器と更紗」展のおふたりの作品に彩りを添えてもらいます。染色家のかおりさんに、貴重な更紗の端切れをわけてもらい、布製コースターを手縫いします。僕は、裁縫が苦手なのですが、針仕事をすると、布の声が聴こえてくる気がして、瞑想的でたのしいですよ。縫い上げたコースターは、お茶会後、おもち帰りください。
陶芸家の垣野さんの器で、お茶をいただきましょう。垣野さんの器は、見た目はもちろん、手触りも口当たりもいいんです。お茶会には南九州の郷土菓子(手づくり)をお出しします。こちらも、たのしみにしてくださいね。
ゆっくり小のお茶を、茶器と更紗で味わう気楽なお茶会。みなさんの手の力を使って、しあわせな時間を手づくりしましょう。
春の日に、みなさんにお目にかかれるのをたのしみにしております。
STUDIO VEGAN 吉村純
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