ゆっくり小学校 ≫ 授業風景

ゆっくり小には 石がひつよう

わたしは これから
おもてにでて
石といっしょに
遊ぶことに
する。

たまたま
手のなかに
石がひとつ
あったり
するから・・・

『すべての ひとに 石が ひつよう』
バート・ベイラー著 北山耕平訳

 この夏、Kaikai Kiki Galleryで開催された、李禹煥さんの個展に行った。地下のギャラリースペースに4トンもの砂利が運び込まれ、李さんの手によって、発掘現場をイメージしたインスタレーションがつくられていた。石と人間との関係性が美しく表現され、一見、無機質な空間のなかに、自然のエネルギーが充満しているようだった。李さんは言う。「石は気の遠くなるような時間に耐えたもの、人間を超えた、作りようのないもの」だと。

 6月からはじまった「ゆっくり小学校」には持参するものがいくつかある。筆記用具はもちろん、マイ箸、マイカップ、マイエプロン、マイ三角巾、そして“マイ石”だ。この“マイ石”について、在籍する小学生たちからさまざまな意見や思いが語られた。
 「石は動かすべきではない。石はそこにいるのだ」とか、「石は動かされるのを待っている」だとか…。子どもが大切にしている石をお願いして持って来られたお母さん、多摩川の土手を夜な夜な探しまわって、偶然つかんだ石がハート型だった人もいる。

 “マイ石”持参の理由、それは、辻校長がとにかく石が大好き、ということに尽きる。旅先で油断すると、あっという間に石拾いに夢中になっている。  辻校長は、石についてこう言っている(はず)。
 「石はわたしたちとまったく違う時間を過ごしてきた大いなる自然の結晶であり、地球そのものであり、スローな先輩です。最も親しい自然、“石”を近くに置いて、スローな時間を過ごしましょう」

 ゆっくり小は、実は意外と忙しくって、ぜんぜんゆっくりではないのだが(汗)、、、李禹煥さんのインスタレーションのような環境のなかで、学びをすすめている学校でもある。  上記の絵本『すべてのひとに石がひつよう』の翻訳者、北山耕平さんがあとがきのなかで言っているように、「石があれば、独りぼっちでも淋しくない」。授業がつまらなければ、石を触って遊んでてもいい。

 ゆっくり小学生たちは、いつも大切なスロー先輩とともにいる。もし、ゆっくり小の課外授業に参加することがあったら、あなたの親しい先輩“マイ石”を連れて、ぜひ紹介してほしい、と思う。

_“マイ石”コレクション
 

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授業はいつも瞑想から

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7月のゲストの先生、田中周子さん

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ランチは恵比寿の名店「空と麦と」の自然農パン。野草の“うこぎ”をサラダに添えて

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昼食前には“五観の偈”の朗読と祈りが捧げられる

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沈黙の食事後のおしゃべりは楽しい

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7
自由学習では“墨流し染め”に挑戦

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墨流し染めは心の内が現れる?

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今月も笑顔の多い、実りの多い授業でしたね