サティシュ・クマール プロフィール
現代を代表するエコロジー思想家。『リサージェンス&エコロジカル』誌名誉編集者。「スモール・スクール」、「シューマッハー・カレッジ」の創設者。1936年インド西部ラージャスターン州生まれ。4歳の時、父が逝去。死がもたらす悲しみからの解放の道を求め9歳で出家、ジャイナ教の修行僧となる。18歳の時、マハトマ・ガンディーの社会的非暴力思想に共鳴し還俗。ガンディー思想の継承者ビノーバ・バーベの土地改革運動に加わり、「ソイル(土)、ソウル(心・魂)、ソサイエティ(社会)」の三位一体の思想の土台を築く。25歳の時、バートランド・ラッセルが核兵器反対運動で逮捕されるニュースを知り、友人と当時4つの核保有国の首都(モスクワ、ロンドン、パリ、ワシントンDC)に、核廃絶のメッセージを届ける平和巡礼を決意。無一文、徒歩で、インドからアメリカまでの約13,000キロの道を2年半かけて踏破し、首脳たちに平和のお茶を届けた。その旅の途上で、バートランド・ラッセルやマーチン・ルーサー・キング牧師との出会いを果たす。1973年、経済学者のE.F.シューマッハーの呼びかけに応じてイギリスに移住。環境、平和、科学、スピリチュアリティーの融合を提言する雑誌『リサージェンス』の編集主幹となる。1982年、自宅のあるイギリス南西部ハートランドに、私立中学校「スモール・スクール」を創設。「ヒューマン・スケール(身の丈に合うサイズ)」教育運動が注目を集める。1991年、「スモール・スクールのような大人の学び場を」という要望に応え、デヴォン州トトネスに「シューマッハー・カレッジ」を開校。1~3週間のショートコースの他、「ホリスティック科学」など一年間の修士課程も設置され、世界中の人々がホリスティックな世界観を学ぶ知的拠点となっている。50歳の時、イギリスの聖地を訪ねる約3,200キロの道を、再び無一文で行脚。2000年にプリマス大学から名誉教育博士号を、翌年、ランカスター大学から名誉文学博士号を授与される。2001年、ガンディー思想を広く海外に普及した功績により、ジャムナラール・パジャジ国際賞を受賞。
80歳の誕生日である2016年8月9日に、43年間務めた『リサージェンス&エコロジカル』誌の編集主幹を退き、名誉編集者となる。やさしく、温かく、力強い言葉とまなざしで、環境運動や平和運動を展開し、世界中の人々を魅了し続けている。邦訳書に、『君あり、故に我あり』(講談社学術文庫)、『もう殺さない―ブッダとテロリスト』(バジリコ社)、『スピリチュアル・コンパス 宇宙に融けこむエコ・ハートフルな生き方』(徳間書店)、『人類はどこへいくのか ほんとうの転換のための三つのS〈土・魂・社会〉』(ぷねうま舎)などがある。スローシネマDVD『サティシュ・クマールの今、ここにある未来 with 辻信一』(ゆっくり堂)に出演。同“アジアの叡智”シリーズの総合アドバイザーを務めている。